春が来る。
2019年3月20日、天候晴れのち雨、最高気温21℃。
9時。妙に布団が蒸し暑く感じて起きた。
12時。バイトまで時間はあるものの、正午を過ぎても妙に気だるい。
3時。要領の悪い私は今日も先輩に叱られる。最近いつもよりグサグサ心にくるようになった。
6時。自転車を漕ぎながら、マフラーはもう要らないなと思いつつ、帰り道の針葉樹のトンネルを抜けていく。
ふと横を見ると、山桜が咲き始めていた。
わけもなく涙が出た。ああ、まただ。また今日もだ。
そこでハッと気づくように感じ取った。春が来る。
桜。
花見なんて殆どしたことのない私にとって、かつてはただの綺麗な花だった。
それが妙に思い入れ始めたのが1年前。
https://hashinaofficial.hatenablog.com/entry/2018/03/24/212735
堕落しきっていた私にとって唯一強く感じる色を持っていたのが、アパートから出て1分弱の小さな小さな公園に咲いている、満開のソメイヨシノだった。
一人暮らしの部屋を出ていく日まで、毎晩その公園のベンチに座っては、街灯に照らされる夜桜を眺めていた。
不出来で、必死で、怖くて、情けなくて、壊れて、払われて、かけたくもない迷惑をかけて、何も出来なくて、辛くて、辛くて、辛い。
そんな私と至って対照的だった昼の桜はもう見てなんかいられらなかったが、夜桜は不思議と心が落ち着いた。
眺めながら、普段私がめったに連絡をよこさない母に電話をかけた。
そして泣く泣く言ってしまった。
「生まれてきてごめんなさい。」
言ってしまった。
親からすれば最も聞きたくなかったであろう、最低の言葉。
電話越しの母の啜り泣く声が聞こえた。
そんな日のことを思い出した。
あれから1年。
実家に帰った私は徐々に心を修復させて、少しずつ、少しずつ前に進んできた。
もっと真人間として生きたい。
ただその一心で。
そしてまた桜の気配が、春の気配がやってくる。
4月、5月。
メンタルが最も敏感になりやすい、鬼門とすら感じる季節。
でも進まなきゃ、遅くていいから、たまには立ち止まってもいいから、進みたい。
忌々しい春の気配と、抵抗する意志と、受容する意思が混ざり合うように、痛みとなってキンキンと私の頭を掠める。
なんだ、もう雨が降ってきやがった。
寝られなくてもいいから、今夜も早めに横になろう。
ほんの少し。たった1歩。
小さく、小さく。
もう少しすれば、仲間達に会える。