「ハシモトナオ」を始めた理由。
「ハシモトナオ」のアカウントを開設して、もうすぐ1年と半年が経過しようとしている。
このアカウントでは乃木坂46のファンアート、やがて欅坂46含めた坂道グループのファンアートをアップし続けてきた。
それがどういう経緯で始まったのか、最近辿って思い出すことが多くなった。
思えば子供の頃から絵を描くのが好きで、小学生の頃はA4用紙にセロハンテープで繋ぎ合わせたギャグ漫画を何冊か作って友達に見せたり、既に絵は自分にとっての習慣のひとつであり、コミュニケーションの手段だった。
高校はデザイン科を選択し、いざそこに入ってみると、才能を持った人々が続々と集まっていた。
なんせまだ高校生。
中学生の頃からデザイナーやアートディレクターになりたいと思ってデザイン科に入ってくる人など稀である。
大抵は絵が好きという理由だけで入ってくる子が大半で、私もその一人だった。
そうなると当然絵の上手い学生なんてごろごろいる。
私もそこそこ上手い方ではあった。
しかし「絶対この人には敵わない」という人が1人いた。
デッサンも16歳にして舌を巻くほど上手く、透明水彩の扱いもそれは見事。
平面構成も、スーパーリアリズムも、ケチのつけようがない。
まだ戦い方を知らなかった私は「絵の道は諦めよう」と思った。
「別の道を選ぶしかない」と思い、やがてデザインを勉強し始めた。
そこから数年間ずっとデザインのことのみ考えるようにした。
絵のことなどさっぱり諦めた気になっていた。
しかし心のどこかで妙に引っかかっている自分もいた。
それが仇となったのか、ある時期からしばらくボーッとするような日々が続いた。
虚無感。無気力感。
自分でヤバいと思いながら、じっと動けず、燻り続けていた。
当然それは現実にもあらゆる側面で支障をきたし始めていた。
そんな中、Twitterを数ヶ月ぶりに見ていたある日のことだ。
乃木坂のファンアートの世界を知ったのだ。
元々乃木坂が好きだったこともあり、関連のツイートを辿るように眺めていた。
しばらく調べていると、面白いものを作っている人を見つけた。
正方形の規格の中心に16:9のサイズでメンバーを配置し、服に見合ったスニーカーを履かせている。
それを何枚も何枚も数珠繋ぎでアップしている。
面白いなーと思いつつ、ふと自分の手元を見下ろした。
ラクガキをしていた。
無意識だった。
何年も描き続け、習慣化していた絵描きから完全に脱することなど出来ない、と気づいた。
既に絵を描く道へ引き戻されかけていたのだ。
この時、自分の宿命を悟った。
「また絵を描こう。」
そんな想いでアカウントを開設した。
同時に、どうすれば面白いものを作れるか考えてみた。
絵をいろんな人に見てもらえるかもしれないし、もしかすると絵の仕事が出来るようになるかもしれない。
自分を掘り下げてみると、絵を諦めた結果獲得したデザインの知識、作り方、そんなものを持っていた。
「これを活かしてみよう」と思い、絵に対するブランクがある分、その知識をできる限り注力し始めた。
反応は想像以上に早かった。
細々と始まるものかと思っていたものが、色んな人に絵を見てもらえるようになり、それどころか沢山の人々と実際に会い始めるような日々が始まった。
沢山の企画に参加させて貰えたし、いろんな方々に知って頂けた。
トントン拍子だった。
それと同時に、現実の生活で苦悶し続けている自分とのギャップに困惑していた。
あとは以前Twitterやブログに書いた通り。
地元に戻る決断を下し、休みながらも見つめ直す日々が始まり、今に至る。
この過程を長い目で見ていくと、絵を描くことに再び目覚めたことにより、あるポイントから引き返し始めている自分がいることに気がついた。
どこで何を間違えたのかは分からないし、そもそも選択自体、過程自体、間違っていなかったんじゃないかとも思う。
引き返していく過程で間違いなく私はあらゆる人、物、事を引っ提げてきた。
どこまで引き返そうとも0ではない、少なくとも1はこの手元にある。
その価値ある1をどのように還元していくか。
私は過去の選択を過ちではなかったと信じる為に、この1を還元して前に突き進んでいきたい!
2016/11/15 ぐるぐるカーテン ファンアート/ハシモトナオ名義で最初にアップした絵。